游々自敵

中身のない話と虚無

ミッドサマーのあれこれ

ミッドサマーを観てきたので覚え書き云々。

 

先に注意書きをしておきます。

どの映画にも言えることですが私はミッドサマー面白かったと思いますが他の人が同じようにそう感じるかはわかりません。ことこの映画については本当に人によって受け取り方が異なると思うので鑑賞はよく考えて覚悟を決めてから行った方がいいと思います。

って書くと見た後に拍子抜けする人も出てくるかもしれませんが多分そのくらいがいいと思う。人によっては本当にダメになるかもしれないなーとは思います。でもハマる人はハマると思うよ。

じゃあ以降のこの記事の閲覧と映画の鑑賞は自己責任でお願いしますね。

以下作品のネタバレを大いに含みます。

 

 

 

ぶっちゃけ私は「ホルガ村やべーな! 怖すぎない!?」とは思わなかったです。特に人が自死を選ぶ云々の文化に関しては。

別のアカウントでちょろっと触れたんですけどFGOの二部二章、ゲッテルデメルングをクリアした人ならちょっと感覚がわかるかもしれない。クリアしてからかなり経つのでシナリオうろ覚えなんですが、あの世界って確か一定の歳になると死ななきゃいけないみたいな慣習だったと思うので……

とはいえそもそもの世界が「自分たちの生きる世界にある」か「並行世界」かが異なる点では対処も大きく変わってくるわけだけど、外側の世界(ゲームのプレイヤー、あるいは映画の鑑賞者、つまり第四の壁の「こちら側」)の私たちの心の動きとしては同じようなものなんじゃないかなと感じます。

私たちは「死=忌むべきもの≒悪」という倫理観の中で生きているけれど、これらの世界は「死=(進んで)受け入れるもの≒善」という倫理観で成立している。極端な話ゲテモノ食いと同じだと思う。犬猫を食べる文化圏に触れた時のことをかんがえるとわかりやすいかも。

 

これをただ「人は死ぬのは良くないから良くないんだ!!この文化は滅ぶべき!!」と批判するのは違うんじゃないかな、と思うわけです。じゃあ逆に私たちが「人が死なないのは良くないから良くない!!この文化は滅ぶべき!!」と非難された場合に切り返すことができなくなる。明確な答えが用意できない「人が進んで死んじゃいけない理由は何?」っていう質問は「人が死んじゃダメな理由って何?」と表裏一体な訳です。

「そういう文化もあるんだな」と一度飲み込んだ上で、それでも自分の倫理観を信じるか、相手の倫理観を受け入れるかを選択しなきゃならないんじゃないかな、と。ミッドサマーの批判であの文化やばくない?みたいなところにしか触れてないものを散見したので……でもこれも私の考え方でしかないんだけど。

サイクルを終えたから死ぬみたいなのはわりと日本の昔話でも見かけるし(姥捨山とかその類では?)そういう世界観自体はショックではなかったかな……私は!!ね!!(大切)人によってははちゃめちゃにショックかもしれない。

 

ティーザーの「全編伏線」(うろ覚え)みたいな謳い文句はあながち間違いではないと思います。でも別にシナリオで自主的に回収してくれるわけではないから自分で考えてかなきゃいけない。本筋が多くを語らない作品なので解釈や考察のしがいはあると思います。ただ二回は観たくねぇな〜〜!!!

そういう意味では「ウミガメのスープ」が言い得て妙な評価だと思います。あるいは「知らぬが仏」。ストーリーでは言葉にして語られなかったことに気づいてしまったとき、スッキリするかもしれないし、あとに引き摺るかもしれない。良くも悪くもウミガメのスープ。奇妙な味だったけど美味しいスープだったなぁと家に帰る人もいれば、帰宅してから事実に気づき便器を抱え込んで泣きながら胃の中を空にしようと吐き続ける人もいる。そういう映画です。

 

あとこの映画、冒頭でクリスチャンに感情移入するかダニーに感情移入するかで見方全然違う気もする。まぁクリスチャンは人の卒論盗作しようとするクソなんですけど、メンヘラ彼女に依存されてお手上げになるのもわからなくはない…………クマチャン…………この作品で一番かわいそうなのどう考えてもクマチャンでしょ。可哀想…………

ただ画面自体は本当に美しいです。パステルカラーの世界に鮮血が映えるほどにはね。

個人的にはダニーがメイクイーンになった後の食事で並んでいた肉があの…………彼らなんかなって…………明確な答えほしいな〜っていうのが一番気になってるポイントですね。やっぱりそうなんかな? わかるひと教えてクレメンス…………

 

総評的にはホラー映画というよりはエクストリーム文化人類学作品って感じ。

 

観に行くなら万全のメンタルでどうぞ。

個人的にはちんちんボロンとモザイクが一番の笑いどころでした。普通にギャグだった。なんあれ……